TURN-127 封印を破りし者・マルタン
■本放送:07/03/14
■脚本:鈴木やすゆき■絵コンテ:山口健太郎
■演出:山口健太郎/Lee Kyoung Soo■作画監督:In Tea Sun
「何故ここから」と思われそうなところかられっつらご。
いや、リアルにそういうところにメインキャラにも関わりそうな細かい設定が出てたりするので。
密かにアモン&エコーも好きだったり…悲恋だけど。

■Aパート

ユベル(マルタン):ここに、三幻魔のカードが収められている。
      アモン:三幻魔のカードを、どうするつもりなんだ。
ユベル(マルタン):さらなる力を手に入れる…!
      アモン:何のために。
ユベル(マルタン):ボクの願いが叶う。

      アモン:何を願う。お前は何を狙っているんだ。
  ユベル(男性):ふふふ、
  ユベル(女性):あの人に、喜んでもらうため。
      アモン:ならば、
      ユベル:ん?
      アモン:ボクがそれを手にしたら、どうなる!
ユベル(マルタン):さぁね、それも面白いかもしれないね。
          試してみる?デュエルで、キミが勝ったら、
          このカードを、好きにしていいよ。
          キミに、願うことがあると言うなら。
      アモン:(オレは、オレは…。)
      ユベル:ふふふ…。
      アモン:(…オレに願いなど…。)

          だがマルタン、いや、
          本当のキサマの真意を、探ってやる!


力というのは願いを叶えるために手に入れるそうです。
カットできないセリフだらけで困る。
オレに願いなど…あるんですね分かります。
そして3ヵ月後の異世界編で本格的にはじけることに…。
…で、その「3ヶ月」でこの話は視聴者からほぼ忘れ去られてるんですね分かります。
復習しないとついていけない、それがアニメGX\(^o^)/
ちなみに、経験則ですが、お子様は同じ話を何回見て復習しようとどの道ストーリーの流れになんかついていけないので、逆にこれでいいんだと思います。
一回一回がなんとなく面白ければいい。で、なんとなくいいこと言ってる気がすればいい。意味なんか後で分かればいい。それが子ども向けアニメ。
ちょっと変なことしてても「あれ?」って思うくらいでよく分からないからどんな大胆なことしたって平気さ!セラムン見れば分かるじゃないか!(爽)

追記:アモンが「ボク」と「オレ」の一人称使い分けキャラだと素で気付かなかった。うぉおぉ…なんだこれ。心の闇と関係してくると思うので、145とか150とかで触れるかと。

ユベル(マルタン):やっぱり、キミは完璧だね。
      アモン:…っ。
ユベル(マルタン):褒めてはいないよ。
  ユベル(男性):キミのデュエルを見れば分かるんだ。
          決して破綻せず、計算し尽くされ、
          イレギュラーな考えなど、
          微塵も入り込む余地は無い。
          意志なのかな?
          すべては、キミの弟を守るという強い意志。
      アモン:…っ!

(TURN-117のアモンの過去回想からその後へ)
(仲むつまじいシドとアモンの姿を、複雑な表情で見つめるエコー)
  ユベル(男性):キミの精神が纏(まと)う殻。弟のために
  ユベル(女性):全てを捧げ、その強固な意志にキミは従い、
          迷うことなく生きてきた。
          その意志はキミにとっての、神だったんだ。
      アモン:神?何を言っている!
      ユベル:ふふ…ははは。


アモンの反応は常識的ではありますが、今の世の中、「自分の意志」=「神」というのはなかなか深いテーゼです。
無神論者はいても宗教信じてない人はいないって言い方もできるからねぇ。

それにしても、誰かさんとか言うまでもなく亮に重なる件。
ということは、亮から「翔の兄」のポジションを借りていた(詳しくはTURN-137で)十代にも重なります。
ストーリーはこれも踏まえて、TURN-145に繋がっていくんだと思います。(十代「アモン…あいつはオレだ」)
ただし、アモンの世界は、アモンを最優先にするエコー、自我の未成熟な子どもの弟(シド)という三人で「閉じて」しまっています。
アモンにとってのシドは、亮・十代にとっての翔(と、アカデミアの仲間)ですが、シドと違い、翔は二人から独り立ちしていきます。「守るべき者との別れ」が、実は二人の変貌の直前に起きているという。
それは、二人が自由になったということでもあり、それまでの拠り所を失ったということでもあるんだと思います。
自由になった意志で、二人は何を思い、何を願うのか?
それは見てのお楽しみ、ってところですかね。(白々しすぎる・笑)

■Bパート

 エコー:アモンは、この世界に戻ったら、
     今までどおり、ガラム財閥のために、
     いや、彼の弟、ガラム財閥の後継者たるシド様のために、
     一生を尽くす人生を歩むだろう。
     自ら望んで、妬みも、そねみも、ひがみも持たず、
     ただシド様のために生きる。
     そんなアモンを、私は尊敬していた。
ペガサス:だったら尚更、アモンボーイをこの世界に
     連れ戻さなければいけないのデース!
 エコー:違う!
ペガサス:!
 エコー:この世界に帰ったら、一生アモンは、
     シド様の僕(しもべ)のまま。

ペガサス:何を言っているのデース!
 エコー:彼のそばにずっといて、私は思い知らされた。
     能力、人格、精神、どれを取っても、
     彼にまさる人間はいない。
     アモンこそが、ガラム財閥を、
     いえ、この世界を統べることのできる、
     そう、まさに王たる資質を持った人だと!
ペガサス:王とは、少し、大げさではありませんか。
 エコー:お前たちに、分かってもらおうとは思わない。
     だが、私には分かる。分かってしまった。
     だから…苦しいのだ。
     かつて一瞬だけ、アモンがシド様に向けた憎しみを、
     今度は私が、背負うことになってしまった。
     この世界にシド様がいるばかりに、
     アモンは、本来あるべき姿になることはできない。
     シド様さえいなければ。
     私は夢想した。アモンになり代わって。


ペガサスがすごくまっとうな反応してるのが面白い(笑)
でも自分の世界に浸りきってるエコーには届きません。
エコーは完全にアモンの分身になりきっちゃってるという。
145とか150とかと繋がりますが、当分やらそうなので反転でここに↓
ここら辺が「アモンはエコーを愛していない」というエド&ユベルの意見が出てくる理由。
エコーはアモンの苦しみを全て引き受けた。そのエコーに言われるままに王を目指すことで、エコーを苦しめ続けていることに疑問を持たないアモンは、エコーを愛してなどいない、というわけです。
エコーが好きでやってるんだからアモンは悪くない!ってのは安直です。それならエコーに諾々と従うアモンは、今度はエコーの操り人形になってしまう。悪い悪くない以前に、人としてそれでいいの?っていう話。
とはいえ、エコーもその状況に疑問を抱いていないので、二人の間には介入の余地が無いのです。

↑ここまで反転

余談ですが、アニメ版遊戯王でペガサスが普通に生きてるのは、ペガサスの願いがNAS的に「罪の無い」レベルだったからだと思うんだ。

(エコーの望んだ通り、死の危機に瀕してしまったシド。
 けれどアモンの尽力によって、シドは回復する。)

      エコー:この世界で、アモンが王になる。
          その夢は、アモン自身の手によって砕かれた。

(ユベルvsアモンに場面転換)
ユベル(マルタン):キミの、完璧な意志の向こうに、
  ユベル(男性):本当の願いが、渦巻いていることを
          ボクは知っている。
          その神のごとき鉄の意志、その奥に、
          本当のキミが、出番を待っている。
      アモン:…っ。
  ユベル(男性):この世界で、それがよく見える。

(エコーに場面転換)
      エコー:でも、この世界じゃない、
          別の世界にアモンがいるのなら、
          そこでなら、本来の、あるべき姿で
          いることができる!


三沢…(遠い目)
願いを消し切れてはいないアモン、本人以上に、アモンに王になってほしいと願っているエコー。
このバランスのズレが、TURN-150に繋がっていくわけですね。

これはGXのストーリー上起こせなかった「もしも」ですが、シドがちゃんと大人になるまでエコーとアモンが待てれば、また違う未来があったのかもしれません。
シドが自分でものを考えられるようになれば、自分だけに尽くすアモンにシドが何かアクションを起こして、エコーの未来予想は外れたかもしれない。アモンは自由になったかもしれない。王がどうこうとか言ってたことは、二人の黒歴史になってたかもしれない(笑)
けれど、悪魔の誘惑は、二人に「時を待つ」ことをやめさせてしまいます。

ユベル(マルタン):キミの、本当の願いを叶えるためには
  ユベル(男性):キミの神、その意志を打ち砕かなければ
          ならない。だがキミには、神を亡きもの
          にすることはできない。
          それは、悪魔の役目だからだ。


65話はヘルカイザーがリスペクトデュエルを亡きものにしたんですね分かります。
覇王が仲間亡きものにして「超融合」作ったりね。
でも、その力を何に使うか、が、重要だったりして。
TURN-141「生憎、我らは正義の使いだとしても」「ダークヒーロー系でね」
TURN-173「ダークネスから復帰した吹雪さんは、その力を正義の意思で使っていた!貴様らとは違う!」
GXは徹底的にたった一つの軸で進行しているん…だと…思いま、す…orz

亮の悪:勝利への欲望(ヘルカイザー)
亮の神:リスペクトデュエル(カイザー)
亮の願い:???
と置いておいて、詳しくはTURN-148で。
…というかこうしてみると、やっぱTURN-95の翔はカイザーじゃないといけなかったのか。

あと細かいけど、マルタン・男性・女性の使い分けは、なんとなく、個人的な願い:マルタン、悪(破壊衝動):男性、悪(誘惑):女性、って感じなのか?という気がしました。

      アモン:お前は、何者なんだ!
(マルタンの手札を見る)
      アモン:っ!「ブレイク・ザ・シール」の効果で、
          デッキからもう一枚、カードを引いていたら、
          エクゾディアが完成していた…!?
ユベル(マルタン):フン。
      アモン:お前が、悪魔だと言うのか。
ユベル(マルタン):ボクはただ、
  ユベル(女性):キミと手を組んだら何ができるか、
          ワクワクしただけさ。一緒に
  ユベル(男性):楽しもうよ、この世界を。

      アモン:あ、あ…。
  ユベル(男性):三幻魔よ、我が手に!


ボスキャラにテーマを語らせるとはいい度胸だ。
「ワクワク」と「楽しい」はGXの最重要項目。
基本的にユベルは、「やってることはおかしいけど言ってることは(GX的に)正しい」キャラだったりとかします。
そうでなきゃ、ああいう3期ラストには持っていかないでしょうけどね。

しかし、エクゾディアってここで伏線出てたんだな。
だから細かすぎて誰も覚えてないって!

(アカデミアを元の世界に戻すための
 デュエルエナジーを発生させるために
 三沢たちはテニスコートへ)

三沢:こっちはヨハンが出ます。そちらは、やはりエドが?
エド:ボクが出てもいいが、数千億ジュールもの
   デュエルエナジーを、瞬間的に出すためには、
   闘気以上のさらなる力、貪欲に勝利のために、
   相手ごと呑み込むような殺気が必要だ。
   格好のデュエリストを、こちらで用意した。


ヘルカイザーのデュエルはそういうデュエルらしいです。
エドには偏見は無い模様。
TURN-95で思いっきり引いてたのにな(笑)
あれは「あのカイザーが!?」って驚いてただけではあるんだけども。
どうでもいいけど、エネルギーを発生させるなら明らかにパワーデッキのほうが向いてるだろうし、思いっきりテクニカルデッキのエドにはむしろ無理なんじゃないかと思ってしまう私…(笑)

 レイ:あ…っ。
明日香:亮!
 三沢:カイザーか…!
 博士:よし、システムをシンクロさせるのじゃ。
 助手:はい!
  亮:ふっ…ヨハン。キサマの宝玉獣など、
    オレのサイバー・ダークの力で、
    粉々に打ち砕いてやる。
    死ぬ気で来い!


ツヴァインシュタイン博士は名前省略!
レイ・明日香・三沢ってところが芸が細かいよな…。ジェネックスでヘルカイザーさんを最後に目撃したのはレイなわけですが。
そんでもって、吹雪・翔・十代は、このデュエル見てないんですよねぇ…。

なにげに、2期ヘルカイザー担当の鈴木さんが、3期アモン担当な件について。
初デュエルのvsサンダー回は武上さんと鈴木さんなんだよね。ここで鈴木さんが武上さんからアモンはこういうキャラにしたいんだ〜みたいな教えを受けたとかなんだろうか…(妄想過ぎる)

090730
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