※3期ラストで全員復活すること前提な妄想SSです。
※亮の散り様を何故だか吹雪は知っています。 ※吹雪が自分の散り様を知っていることを何故だか亮も知っています。 革命完了―Mission Complete― 「こんなところにいたの?」 探していた人影を見つけて、吹雪は声をかけた。 素直に心当たりを探して正解だったらしい。 「吹雪」 もはや見慣れてしまった黒いコートで、亮は一人、灯台の下に佇んでいた。 「皆といないから探しちゃったよ。まぁ、カッコいいところ見せすぎて出にくいかもしれないけどね?」 「…そういうわけじゃない」 茶化すように言う吹雪が、本気でそう思っているわけではないことも、亮には分かっている。 亮としてはただ、心の整理をつけたかっただけなのだ。 「…“ヘルカイザー”も廃業だな」 「うん、いいんじゃない?」 さらりと笑顔で言ってのける吹雪に、亮は思わずため息をつきそうだった。 「吹雪にそういう風に言われると、とんでもなく馬鹿なことをしていた気になってくるな」 「えー、どうしてさ?」 そういう軽いノリで話すからだ、と、思っても言わなかった。それが表面的な事実でしかないことは、吹雪自身を除けば、多分自分が一番よく知っていた。 「ま、真面目で堅物なのが亮だからね。結局はそういうことだろう?」 「…そうだな」 吹雪のシンプルな言葉に、亮は思わず感嘆しそうになる。 あまり単純に考えるのは得意ではなかった。 だからこそ、単純な道を突き進んでみるという結論に達したのかもしれなかった。 誰に理解されずとも構わない。 そうやって絆を断ち切っても、本当はきっと一人で立っていたわけではない。“変わってしまった”自分を見る仲間の目は、誰の目も真っ直ぐだった。 例え断ち切られた絆でも、誰も手放しはしなかった。自分を含めて。 「…もし吹雪が、闇に力を求めたくなったら―」 何を言いだすのかと思われるだろうか。 「―オレも誘え」 ただ、そんなことを言ってみたくなったとしか言えないのだが。 「付き合ってやる」 そう言った亮は、吹っ切れたように笑っていた。 「………」 吹雪がしばらく答えられなかったのは、その笑顔が、見たことが無い類の清々しい笑顔だったからだ。 にやりと笑って、吹雪は言った。 「…いいの?そんなこと言って」 「そんなことにはならないとは言わないんだな」 「それ言ったら亮に失礼じゃない?」 「オレが言ったことも十分吹雪に失礼だと思うが」 「んー、でもボク前、亮に…っていうか、ダークネスに負けちゃったしねぇ」 「…気にしていたのか?」 「まぁ、それなりに」 それなりということは実際にはかなりか、そんなことを思いながら、空っとぼけた吹雪の顔を眺めた。 「でも…ま、気持ちだけもらっとくよ。二人一緒にそんなことになったら、みんなが余計泣いちゃうからね」 「自分が追いかけようとしたことは棚に上げるのか?」 「もちろん♪」 正直、吹雪は底が知れない。 いざとなったら、自分以上にあっさりと何もかも捨ててしまいそうな、そんな気さえする。だからこそ、さっきのような台詞を言ってしまったのだろう。 複雑な心境で見つめる先で、吹雪が不意に笑った。 「ありがとう」 深い眼差し。 普段の冗談まじりの笑顔とは違う、穏やかな笑顔。 「…オレの台詞だ」 だから亮も笑った。 まだまだ続くこれから先の未来に、例え何が起こっても、絆は絶対に失くさない。 なくなったりしないと、たくさんの人が証明してくれた。 「行こうか、みんなが待ってるよ」 「ああ」 帰れる場所がある。 それはまるで、奇跡のような幸せだった。 070909 |
私が吹雪さんに見てる変な方向の夢大爆発。 ダークネスに負けたってのは89話で乗っ取られたってことです、念のため。 ヘルカイザーやめなくてもいいとも思ってるけど、亮だったらやめるかなぁとも思ってる。 断ち切られた絆云々分かり難いとは思いますが、まぁ、3期見てて思ったことです。手放せない絆が翔を傍観者にしたんだと(そこなのか)。誤解してようが逆恨みだろうがそんなことは瑣末な問題で、重要なのは途切れた絆を放り出せないということだと思うんです。 はてさて、3期最終回どうなるやら。 あ、タイトルはもちろん、亮の使うカードの技名のせいでこうなりました。サイバーもキメラテックも全部エボリューションなんだもんよ。そしてサイバーエンドは永遠革命…そういえばエンドレスエボリューションと迷ったんだよなタイトル。意味全然違うって?「一区切り」なんですよ、完了って言っても。って説明してる時点で負けorz 「ヘルカイザーも廃業だな」から「いいの?そんなこと言って」までの、描きたいところだけ頑張ってあと手抜きな漫画アップしました。 というか、それが先にあってSSにしたのですが。 そんなわけで漫画版はこちら☆ |