5 地獄帝王(ヘルカイザー)

 あの日電撃が走ったのは、体だけじゃない。
 心に走った衝撃。

 それまでの自分を、自分で否定する痛み。

 足りなかったもの。
 こんなことになるまで分からなかったこと。

「負けたくないぃぃーーー!!!」

 オレにとってデュエルに勝つことは「当たり前」だった。
 そんな風に慢心していたことにも気づかずに、何故負けたかも分からずに負けたことを引きずって、勝てるわけがない。

「オレは勝利に餓えている、渇いている…」

 この渇いた感情も、自分のものだと今は分かる。
 負けたのは慢心のせいでも、負け続けたのはこの渇きを否定したせい。
 気がついたときにはもう、リスペクトなんて薄っぺらな言葉が役に立たない闇の中にいた。
 だから、今まで知らなかった自分を突き進むと決めた。
 今まで見えていたはずのものを、手探りで掴みなおすために。

「お前の懐にある勝利を奪い取ってでも―オレは勝つ!!」


 ―お前の隣に今は行けない。
 願わくばどうか、絆だけ信じて。

 070824

(ヘルカイザーは孤高の人。ベルトが「K」のヘルカイザーはなんだかんだで闇の中にいると思う。「R」は違うんだろうけど。)
ヘルカイザー大好きです。それだけは自信があります。
全力で悪役(ヒール)突っ走っておきながら実は本気で自分にとっても地獄だったとか愛しくてならん。そういう時ってあるよね!(爽)

 
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