機械龍黒竜を見るか?

「ねぇ亮、ちょっと聞きたいんだけど」
「なんだ?」
「サイバー流裏デッキって、実はすごく使いにくくない?」
 それはとても素朴な疑問だった。
 ぱちくりと、亮はその吹雪の顔を見つめた。
「…言いたいことは分かるが」
 裏デッキに使われるサイバー・ダークシリーズは、それ自身は機械族、装備モンスターはドラゴン族という一風変わったカードだ。二種類の種族を使うこと自体はそこまで難しいことではないが、先にサイバー・ダークシリーズを引いてしまうと、装備用のドラゴン族が墓地に存在せず、多少苦しい展開になるのは否めない。また、装備状態のカードを破壊されると弱い、除外に弱いなどなど、懸念される弱点はけっこうあったりする。
「それを補って、あのデッキの凶悪さは凄まじい。サイバー流で使用禁止になるデッキだからな」
「うーん…」
「…と、言いたいところだが」
「…うん?」
 逆接でつながれるとは思わずに、微妙に語尾の上がった声で間抜けな返事をする吹雪。
「サイバー流のキーカード、サイバー・ドラゴンシリーズは、ドラゴンとは言っても機械族だからな。本物のドラゴン族に…命ある龍に、憧れでもあるんだろう。多少のリスクを背負っても、同じデッキに投入してしまうほどに。だからこそ、禁止されつつ継承される裏デッキなのかもしれないな」
 意外にロマンティックな答えが返ってきて、吹雪は上機嫌に尋ねた。
「それって例えば、ボクの持ってる真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラック・ドラゴン)に憧れちゃったりとか?」
「そうだな」
 さっぱりした笑顔で微笑む亮のまとう空気は不思議と優しい。
 凶悪だとか凄まじいとかいう形容詞をつけたデッキを語った顔とは思えなかった。
「…あ、じゃあさ、サイバー流の裏と表あわせたデッキと、ボクのレッドアイズデッキで、タッグ組んでみたら面白いんじゃない?」
 それはほとんど悪戯を思いついた子どもの笑顔だった。
 ほんの少し無謀な理想を掲げるだけで、“禁断の裏デッキ”という響きが、なんだかすごく楽しそうなものに聞こえてくる。ましてそれと自分のデッキの相性が良さそうだと感じれば、デュエリストとしての血が騒ぐというものだ。
「…なるほど。確かに、面白いかもしれないな」
 それは亮も同様だった。“ヘルカイザー”としての経験を通して、随分と大人になった亮だったが、ことデュエルに関しては、むしろ昔以上に無邪気に楽しんでいるかもしれない。
「でしょ?ほら、黒竜の雛は基本的にすぐ墓地に送っちゃうし、仮面竜なんかと組み合わせて…」
「それなら、輪廻独断が二通りで使えるな。サイバー・ダークとキメラテック両方を入れるとなると…」

 その後、二人はタッグデュエル用デッキ構築に夢中になって、いつもの如く二人でカードと夜明かししてしまったらしい。
 性格もデッキも対照的な二人だが、紛うかたなき親友なのであった。

 071028

色的にも三体融合的にもブルーアイズの夢見てそうってのは禁句(核爆)
遊戯王カードWikiで「サイバー・ダーク」デッキとかの項目見ながら書いた(笑)「輪廻独断」は今のところアニメオリジナルカードみたいです。しかしサイバー・エンドが文章中に出てこない罠。もちろん、デッキには入れるってことで(笑)
TF2で翔パートナープレイでサイバー流カード手に入れたのはいいんですが、裏デッキ組もうとしたもののドラゴン族と機械族入れるとか私の頭じゃ無理です!とか思って、ふと吹雪さんとタッグ組めばよくね?とか思いついた瞬間SS書こうと決意しました(笑)
とりあえず今回は親友。うん。ラブは無理だった☆

タイトルは言わずもがな「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」から引いてると見せかけて、私にとってはセイバーマリオネットJ「機械乙女は少年の夢を見るか?」だったりする。アンドロイド〜は読んだこと無いZE!

 
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