4 永久に焦がれる面影

「なんだその腑抜けたデュエルは!!」
「消えろ十代!!」

 覇王として犯した罪に囚われ、切り札である融合を使うことすらできない十代を、亮は容赦なく罵った。
 亮がつきつけたことは事実でしかなかった。
 現実から逃げるように、ヨハンを目指す十代。
 今の十代に、ヨハンは救えない。

「シニョール亮、十代を目覚めさせるために、そんな体で…」
「…オレはそんな善人じゃない」

 * * *

“やっぱカイザーはすげぇ、パーフェクトだぜ”
“だが同時に、それがオレの限界でもある”
“え?”
“パーフェクトという、ある意味での限界を求めるな。遊城十代、お前には無限の可能性がある”
“卒業生の言葉、しっかり受け取ったぜ。在校生代表として、オレから卒業の記念だ、受け取れカイザー!トラップ発動!ファイナルフュージョン!”
“負けず嫌いが…!”

 * * *

 十代。
 お前は知らないんだろう。
 オレもお前も二度とは戻れないあの瞬間の昂揚を、オレはきっと目指し続けている。

 犯した罪は戻りはしない。
 失くした時代に戻れはしない。

 だからこそ、目指し続ける。
 きっともう、たどり着けないほどに純粋だった、あの瞬間を。
 呆れるほど簡単に真実を掴めた、あの頃とは違うから。
 
 焦がれ続けて一瞬でも手が届けば、きっとそれで報われる。

 * * *

「お前はもう、子どもじゃない…」

 071104
書いてて泣いたorz
冒頭から回想のつなぎ適当でごめん。

 
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