5 解き放たれた過去

 忘れていた記憶は、今もまだ奇妙な違和感を持ったまま浮遊している。
 多分痛みと呼べるはずの、後悔や悲しみを呼ぶはずの記憶を取り戻しても、涙の一粒も流れはしない。

「お前の挑戦を祝福しよう」

 その理由を、その言葉に知った。

 どうして、あのとき一人で行ったキミが、今すべてを連れて行くのかとか。
 どうして、あのときボクにダークネスの仮面をよこしたのかとか。
 そんな疑問と一緒に湧き上がる。

 生きていてくれて、良かった。

 だからきっと泣けなかった。
 どこかで知っていた。
 また、会えること。 

 矛盾だらけのキミに今立ち向かう。
 今度はもう、何も伝え忘れないように。

 大好きだよ、藤原。

 080923
城之内くん大好きだの精神で。
一通り叱りつつもすべてを許す吹雪さんは偉大。

 
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