議題:吹雪が「藤原」は苗字呼びで「亮」は名前呼びなのは何故か。
仮説:藤原にはツンデレで亮にはデレデレだから。

藤原×吹雪検証SSver.ツンデレ
『事件はきっと写真を撮った直後に起きた』(参考:TURN-159・160)



 INNOCENCE―イノセンス―

「なぁ吹雪」
「何?」
 振り向いたら唇を奪われるなんて、なんという少女漫画、の、しかも妄想。
 って、そうじゃなくて。
「何今の」
「吹雪オレのこと好きだろ?」
「………」
 この流れでそう聞かれれば無論友達としてではない、はず、多分。
 考えたことも無かった、が本音である。
 どうしろと。
 考えた結果、吹雪はだんだんイライラしてきた。
「なんで決め付けるのさ」
「だってそうとしか思えないんだもん」
 けろっとした調子で答える藤原はまったく意に介していないようだが。
「そんなこと一言も言ってないだろ!」
「言うもんじゃなくない?」
「それにしたって…!」
 とここまで言ってから、吹雪はようやくもう一つ聞くことがあると気付く。
 ものすごく怪訝な顔で―
「…藤原はボクのこと…」
「好きだよ?」
 ―最後まで言い切る前に答えられた。

 以後ダークネスの研究が進む中、喧嘩するほど仲が良いなどとからかわれながら、それをものすごく嫌がる吹雪と面白がる藤原という構図が完成する。
「藤原?嫌いだよ、大っ嫌い!」
 とは吹雪の言。
「吹雪は素直じゃないから」
 とは藤原の言。

 実際のところ吹雪としては、藤原を嫌いかと聞かれれば全力で頷けるものの、好きではないのかと聞かれて果たして心から頷けるかというと疑問が残るという複雑な心境で、藤原の研究を手伝えるのは自分しかいなさそうだし(亮はオカルトじみた研究には興味が無さそうだった)、しかも少々危なっかしい内容に突っ込んでいく藤原を放っておけないのも本当だったりして、結局離れられずにいたのだった。

 * * *

 吹雪の中で藤原への感情が煮え切らないまま、藤原はダークネスの力を手に入れる儀式を実行してしまった。

「やめろ!!」

 そう叫んだ瞬間に、すべてが一致した気がした。

 好きとか嫌いとか、そんなことは関係なかった。
 天衣無縫な才能とそれに似つかわしい傍若無人な性格は、どうしようもない引力で吹雪を惹きつけた。
 その力に慕われていることが誇らしかった。
 あんな風に決め付けられるのでなければ、ひょっとしたらその気持ちに応えたいと思ったのかもしれない。

 それはどうしようもなく、幼い恋心だったのかもしれないと。

 * * *

 藤原のいない今、感情は抵抗することなく彼を賛美する。
 ただただ無邪気な傲慢さも、綺麗すぎた笑顔も。
 だからこそ、彼は闇に囚われた。
 幼かったのは彼も同じ。
 それはもう、取り戻せない季節だった。

 071108

80年代少女漫画風なシメになってしまったので、タイトルは真面目な感じに変更しました。
藤原がオレ様天才キャラっぽかったからこうなった。吹雪が受け全開ですが何か。
こんな吹雪、どこにもいねぇ。
さりげなく亮がリスペクト海馬瀬人を主張しています。

どうでもいいけど、遙かで基本禁じ手指定にしてる横文字タイトルをGXだと存分に使いまくる自分がちょっと面白い。

 
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