case4:十代は大変なものを盗んでいきました

「ガッチャ!楽しいデュエルだったぜ!」
 
「「はぁ…」」
 ハモったため息に隣を見やると、顔と名前とついでに性格は一致するけれどそういえばまともに話した記憶があまりない人間と目があった。
「万丈目」
「エドか」
 微妙な空気が流れる。
 先に口を開いたのはエドだった。
「…キミでもため息なんかつくことがあるんだな」
「それはこっちのセリフだ」
「ああ、そうかもな」
 聞いていいのか悪いのか、なんとなく通じるものを感じて、エドはさらに尋ねる。
「キミ、十代に負けたことあるよな」
「キサマもだろう」
「まあね。…で、今ため息ついてたな」
「ああ、そうだよ」
「そこはもう少しこう、“昔の話だ!”とか言うところじゃないのか?」
「キサマこそどうなんだ」
「生憎、そういう気分じゃないんでね」
「奇遇だな。オレもだ」
 なんだか意気消沈しつつ、二人の間に共感のようなものが芽生え始める。
「…あいつ誰とでも楽しそうにデュエルするんだよね」
「心底好きなんだろうさ。デュエルしてればそれでいいって野郎だ」
「分かってるさ。だからこそ…」
「「ムカつく…っ!」」
 ハモったセリフに顔を見あわせるまでもない。
 なんだか半分ヤケになってきて、妙な笑いを浮かべつつエドが言う。
「なんでそこでムカつくんだよ」
「その顔に答えてやる気はせんな」
 同じく引きつった笑いで答える万丈目。
「そうだろうな」
「なんで…」
「あんな奴に…っ」
 呟いて、さらに間。
 沈黙に耐え切れなかったのか、万丈目がぶち切れた。
「だいたいオレは天上院くん一筋なんだ!!それが何故あんな奴にここまで心をかき乱されねばならんのだ!?あいつさえいなければオレは今頃…!」
「ボクだって十代なんかにかまけてる暇はないんだ。プロリーグじゃ相変わらず忙しいし、もちろん全部勝ってはいるけど?なのにいちいちよぎるあいつの顔を振り払うのがめんどくさいったらありゃしない!忘れかけた頃に目立つデュエルしてるからまた腹立つっ!だいたい前から思ってたけどデュエル雑誌はいちいち学生のデュエルまで取り上げることないと思うんだよね」
 ちなみに、十代の記事は載っても隅っこのごく小さな記事だったり読者投稿記事だったりすることをここに付け加えておく。
「まったく…なんでオレが、あんな奴に…っ!」
「そう…そうなんだ…なんであんな奴に…!」
「「十代なんか大っ嫌いだ!!!!!」」
 そのままでも本当なら、ひっくり返しても本当な、なんとも悲痛な叫びだった。

 080110
これが書けなくて上げられなかった☆
いや、悪夢のBL片想い連鎖を、「いいか万丈目。これは、よくあることなんだ!」でシメたかったんですが、そう持っていけなくて…(笑)
きらい〜きらい〜ら〜び〜ん♪でシメられたからいいか(笑)

 
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