Beat fast together! 「今日誕生日なんだってな。おめでとう!吹雪さん」 「ありがとう、十代くん!」 などと、廊下のど真ん中で元気よく交わされた会話に、亮は一瞬怯んだ。 その瞬間、ほとんどいっせいに廊下の生徒がこちらを振り向く。 心臓が止まるかと思った。 「え、吹雪さんって今日誕生日なのか!?」 「うわ、おめでとうございます!」 「吹雪様の誕生日を失念していたなんて!今から祝いの品を調達してきますわ〜!」 「はっはっは、みんなその気持ちだけでボクは十分さ!ありがとう!」 一部始終を隣で見届けた亮は、そのテンションに正直ついていけなかった。 * * * 「あれだけの注目を集めて、よく平然と返せるな…」 「え?だって嬉しいじゃん、あんなにたくさんの人に祝ってもらえたらさ」 「…それは分かるが…」 「まぁ、亮は苦手かもしれないけどね。デュエルで注目されても平気なくせに、日常生活ではシャイなんだもんね〜」 「別にそういうわけじゃない」 「あれ、そうだっけ?じゃあ例えば―」 と、不意打ちキスを見舞う吹雪。 「―こんなのは?」 ちなみに、人影はまばらとはいえ真昼間の学園内である。 「〜っ!!」 「あっはっはー顔が真っ赤だよ?」 それはこの状況を目撃されることを回避するため声を出さないようにと頑張った結果息が止まっていたせいだったりもした。 ようやく呼吸を整えて、亮はげっそりと呟く。 「…お前はもう少し落ち着いたらどうなんだ…」 「やだなぁ亮、落ち着いちゃったら恋なんて終わりだよ?ボク達には結婚なんてゴールもないんだし、毎日ドキドキするくらいで丁度いいのさ!」 軽いのか深いのか分からない言葉だと思いながら、とりあえず亮は一箇所だけ突っ込むことにした。 「…どきどき?」 「うん」 「…しているのか…?」 赤い顔を片手で隠しつつそんなことを尋ねる亮。 それはつまり、“お前も?”というニュアンスで。 「…うん、まぁ」 聞かれるまでもないとは思わないけれど、改めて聞かれてみると改めてなんというか―気恥ずかしい。 「…なら、いい」 ふい、っと視線を逸らした亮に、半分からかっていたはずの吹雪まで顔が熱くなるのを感じる。 「………あはははー」 照れ隠しもあまり利かない。 「…吹雪」 「何?」 「…誕生日おめでとう」 「…今朝も聞いたような」 「…少し、張り合ってみただけだ」 「……え、ちょ、ごめん、ニヤけて止まりそうにないんだけど」 「…締まらん顔だな」 「誰のせいだと思ってるの」 「オレ以外だとでも言う気か?」 「言いません、絶対言いません」 080112 080204(修正) |
バカップルトークが 止 ま ら な い … ! 日記から転載するために無理矢理タイトルつけて、微妙に修正してちゃんとオチもつけようと思ったけど無理だったからやっぱり強制終了。タイトルの訳は多分「一緒にドキドキしてよ!」になるはずです。恥 ず か し い ! とりあえずニヤニヤしてもらえたら幸い。 P.S.「今朝も聞いたような」は好きなだけ深読みしてください。 |