お題は「TV」様「長文5題哲学」よりお借りしました。

02 真実はいつもふたつ。そして正解はただひとつ。


 亮はリスペクトの精神を忘れてはいなかった。
 そう感じられて嬉しいのだけれど―素直に、喜べなくて。
 一人きりの亮を見つけて、吹雪は声をかけた。
「亮!」
「まだ何か―」
 どさっ。
 亮が振り向いた瞬間に勢いよく飛びついて、二人一緒に倒れこむ。
 吹雪は起き上がったものの、下に亮をひいたまま座り込んだ。
「…なんの真似だ」
 不機嫌そうと言うよりは無感情に、亮は尋ねる。
 その顔を覗きこむように、吹雪は言った。
「キミは、結局なんでそんな風になっちゃったんだい?」
「………」
 亮は答えない。
「いや、まぁ答えてもらえるとか思ってないし、答えてもらいたいとも―あんまり思ってないけどね」
 見上げた空は青かった。
 なんとも平穏な光景だ。
「わからないからって単純に聞くのも悔しいし」
 誰にともなくそう言うと、吹雪はようやく亮の上から退いた。
 立ち上がってこちらを向いた亮に、吹雪は微笑む。
「でもやっぱり、その黒い服は嫌いだよ」
「…そうか」
 単なる相槌のような亮の答えに、それでも吹雪は満足だと思った。
「うん。―それじゃ」
 なんとなく、それ以上は亮が困りそうな気がして、吹雪は踵を返して走り出す。
(言わなくていい―言わないほうがいい、よね?今だって亮のことは変わらずに好きなんだって…)
 亮は多分、ただその背中を見つめていた。

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当時吹亮と言い張って書いたけどどう考えても亮吹だと思うんだ。
倒れてる亮の上に乙女座りな吹雪とか萌えませんか。(←書いたときからこれは言ってたっていうね)
個人的に、校長とデュエル〜ダークヨハン戦までのヘルカイザーは、どう足掻いてもストイックすぎてお色気な展開に持っていけない。
 080219
 080724(日記転載)

 
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