吹雪が藤原を連れてきたのは、島にある火山のふもとだった。 「…ここは…」 「分かる?」 それは、ヘルカイザーとなった亮と闘うために、吹雪がダークネスの力を使った場所だった。 「…分かるよ」 一体化していた間のダークネスの思念は、藤原も共有している。 ダークネスが、吹雪を乗っ取った場所。 「ここでボクは、ダークネスに負けて体を支配された。だけど、あのときボクを支配したダークネスはキミじゃない。違うかい?」 「………」 藤原は答えない。 「ダークネスは心の闇の集合体だ。その中ではすべての記憶と知性が統合される。だけど十代くんが闘った「ダークネス」は、その中の誰でもない「何か」だった。これってちょっと、おかしい気がするんだよね」 「…何が言いたいんだよ」 どこか苛立ち紛れに、藤原はそう言った。 「ボクまだ、こんなもの持ってるんだ」 そう言って吹雪が取り出したカードは、鎖につながれた闇の仮面。 ダークネスのカード。 「お前まだ…!」 「そう怒らないでよ、そう簡単に処分できるものでもないんだしさ」 「使う気があるんだろう!?そのデュエルディスクは何だよ!」 そう言って藤原が指差したのは、吹雪の左腕に装着されているディスクだ。 それなりに重さのあるこれは、普段から身につける類(たぐい)のものではない。 「あれ〜バレた?さすがに鋭いね」 「分かるに決まってるだろう!?」 「でも、この使い方は知らないだろう?」 言ってデュエルディスクをアクティブにすると、吹雪はそれをフィールドカードゾーンにセットする。 「やめろ!」 藤原叫んだのは、いつか吹雪が言ったセリフ。 それが象徴するのは、今があの時の鏡像なのだということ。 「やめないよ」 そう言った吹雪の瞳は、ぎりぎりのデュエルを楽しんでいるときのそれだった。 |