君がいる世界で僕は
―Original Sin―



エピローグ

 ―
 ――…。
 目を開けるとそこは、最初にいた火山だった。
 日はとっぷりと暮れていて、時間の経過が若干心配だったのだが、その横で。
「…っはー…怖かったー!」
 叫んでばったりと倒れたっきり、吹雪が動かなくなった。
「…っどうしたんだ!?」
「あはははは、さすがに疲れた…」
 考えてみれば当たり前だった。さっきまでずっと、彼はダークネスの力を制御し続けていたのだ。
 あの空間で破壊されたダークネスのカードは、もうどこにも無いらしい。
「…なんでそこまで、無茶するんだよ…っ」
 あくまで笑顔を絶やさない彼を、本当は怒ろうと思ったのに、その声はまたも震えてしまっていた。
「言っただろう?笑って欲しいだけだってさ」
 これだけ無茶をされて簡単に笑えるものか。
 そう思う反面、ここまでされたら期待に応えないわけにもいかない。
 うまく行く自信はあまり無かったが、それでも藤原は笑って言った。
「ありがとう」
 涙の向こうに、本当に嬉しそうに笑う吹雪が見えた。


←PREV あとがき

 
BACK