TURN-147 因縁の対決!サイバー流VS宝玉獣
■本放送:07/08/08
■脚本:武上純希■絵コンテ:山口健太郎
■演出:山口健太郎/Lee Kyoung Soo■作画監督:Park Chi Man/Nam Sung Min
会話だらけで1ブロックがやたら長いですがご容赦ください。

■Aパート

イエロー:今ちょっとのぞいてきたら、
     手札に融合のカードがあったわよ!
  三沢:どうしたんだ、十代は。
   翔:仲間たちの犠牲、覇王十代としての罪。
     十代は責任を感じて、
     無意識の内に融合が使えなくなっている。
 タニヤ:だが、このまま融合が使えなければ、
     十代は間違いなく死ぬ。
  三沢:そんな…。
  十代:くっ…。
     (どうすれば…)
  三沢:使うんだ、融合のカードを!
  十代:三沢。
  三沢:責任を取らなきゃならないとしたら、こんな形じゃない!
     お前でなければできない、本当の敵を倒すことだ!

  十代:本当の、敵?
  三沢:融合を使って、生き延びるんだ、十代!
  十代:手札の融合を、墓地へ送り、
 タニヤ:何?!融合を捨てるって言うのか。
  三沢:十代!
   翔:やはり、使えないんだ。
  十代:マジックカード、「融合破棄」を発動!
(デュエル中略)
  十代:(三沢、本当の敵の正体が分かったのか。
      そいつと決着をつけるのがオレの責任だって。)
(デュエル中略・十代勝利)
 バオウ:ふふふ、やはりな。震える子羊のふりをしていても、
     お前の本性は、覇王のままだ…!

あんまり死ぬ死ぬ言うなと言いたいところだが、それを言わないと始まらないのが異世界編。ヒーローが守るものとか、ヒーローの使命とかを余すところなく描こうとしたら、「ヒーローが負けたときにどうなるか」を避けて通れなかったってのもあるかもしれません。
融合を使うのは無理でも生き延びるのは可能だった十代。
しかしガーディアン・バオウは見事な小物ですね(笑)
追記:
「としたら」っていう言い方はTURN-95で亮が使った「言うなれば」と同じようなニュアンスなんだと思うんですが、これは「お前の言い方で言うなら」っていう意味で、その言葉を使った人間の本心では必ずしもありません。この言葉が使われたときのセリフは、当面の目的を達成するための方便で、ある意味では嘘と言っても言いすぎじゃないくらいです。今回の場合だと、とにかく十代に勝つ気力を出させるために、「違う責任の取り方がある」という言い方をしたんですが、だからって三沢は十代が何か責任を取らなきゃいけないとは思ってないわけです。


  三沢:十代。
  十代:三沢、タニヤ、無事だったのか。
 タニヤ:ああ、わたし達のいた次元は、仲間たちが押さえている。
  十代:そうか。
 タニヤ:だが、それも一時的なことだ。
     この世界は、巨大な力に操られている。
  三沢:ああ。本当の敵を倒さなければ、破滅の時はいずれ来る。
  十代:三沢、教えてくれ。本当の敵とは。
     オレは、どうすればいいんだ。
  三沢:うん。この次元にやってきて、色々分かったことがある。
     この世界は、十二の次元に分かれて存在していた。
     それを邪悪な意志を持つ者が、ひとつにまとめ、
     支配しようとしている。
 タニヤ:そう。わたし達は無理矢理この次元に集められた。
  十代:十二の次元を支配しようとしている者…
     それが本当の敵なのか。
  三沢:おそらくそいつはお前を狙い、
     一度はコブラを操り学園を支配しようとし、
     デュエルアカデミアを異世界に送り込み、
     加納マルタンに乗り移り、
     そして今また、お前の中の覇王を目覚めさせ、
     十二次元世界を支配しようとした。
  十代:やっぱり、その正体は…ユベル…!
  三沢:お前の責任じゃない。十代。
  十代:いや、ユベルは、オレが生み出してしまった、悪魔…!
  三沢:しっかりしろ、十代!
     これまで起こったことは、お前のせいじゃない!
     だけど、この事態を救うことが出来るのは、
     特別な力を持つ、お前だけなんだ!
  十代:オレに、そんな特別な力なんて無い!
 タニヤ:ユベルは、お前がその力の持ち主だと知っていた。
     だから、お前の中の覇王を目覚めさせ、
     取り込もうとしたのだ。
  十代:覇王?覇王は消えたはず。あの力は、オレの力じゃ…。
  三沢:いや、今のお前も、覇王十代も、一人の人間の一面だ。
     どんな人間にも、悪と正義の面があるんだ。
  十代:だけど…!
  三沢:いい加減にしろ!所詮力無き正義では、
     みんなを救うことなんかできない!
     力強い覇王の一面をコントロールしてこそ、
     正義は実現できるんだ!
  十代:覇王の力、そんな、闇の力なんて…やめてくれ!
  三沢:甘ったれるな!特別な力を与えられた者は、
     期待してくれている、みんなのために、
     闘わなきゃならないんじゃないのか!
  十代:はっ…。
 タニヤ:自分の力に、怯えているときじゃない。
  三沢:他の誰にも出来ない。
     本当の敵、ユベルを倒せるのは、お前だけなんだ、十代。
ハネクリ:くりぃ…。
   翔:遊城十代と、覇王十代、二つの心が融合したとき、
     本当の十代になるのか…。

なんか途中で切りにくかったので順番に。

・3期総復習
こうしてみるとユベル、精力的に動いてるな…。
「覇王を目覚めさせ、十二次元世界を支配」って、つながってるのかな?ユベルは十代を追い詰めたかったわけだから、覇王を目覚めさせたのは結果論なような気もする。
…うーん?理屈が通ってないような気もするけど、三沢やタニヤはユベルが十代に執着する本当の理由知らないんだもんなぁ…。鵜呑みにしちゃいけないのかも。
まぁ理屈なんて気にしてない可能性も否めないんだが(笑)究極そんなもんどうでもいい!書きたいテーマを書くためならつじつまなんか気にするな!って感じもあるから(爆)
まぁとりあえず、少なくともコブラ戦とマルタン戦確認しないと無理っぽい(苦笑)
追記:よく考えたら十二次元世界を支配するための「超融合」が覇王の力だった。

・お前のせいじゃない
十代以外は覇王の罪もユベルのことも十代のせいだとは思ってない。だけど十代だけが、それを納得できない。十代がここでユベルのことをはっきり「悪魔」って言ってるのは、ユベル自体のことじゃなくて、ユベルが引き起こした覇王の罪を憎んでるせいのような気がする。
覇王の罪を引き起こしたのがユベルだとしても、そのユベルにそうさせたのは自分だから、結局悪いのは自分、っていうのが十代の見てる構図。なので「悪魔」の響きには自分を責める気持ちが混ざってる。(と考えないと後半につながらないんだよな…)

・みんなの期待
これ、よく考えたら十代にとっては重荷でも何でもないんだよな…。あくまで十代はそれがあるなら闘ってもいいかなって一瞬思うんだけど、すぐに「覇王」を使わないといけないなら嫌だ、っていう感じで拒絶してるだけで。
この「期待」は、あくまで「本当に十代にしかできない」から向けられている「十代への期待」。なので、甘えてるのとは違うし責任転嫁でもない。
…という、いわゆる世界観というか、「作内ルール」に同意できるかどうかってのも、GXが受け入れられるかどうかの鍵だったり…。どうしても現実的には「たった一人しかできる人がいない」っていう状況って想像しにくいし。「誰か代わりがいる」っていう意識を徹底的に否定してくるのがGX。それは「ひとりひとり」に向けられる確かな愛だけど、優しくも厳しくもある。
追記:
あ、やっぱり重荷なのか、とちょっと思った(爆)そもそも「重荷」っていう認識までいってないからよく分からなかったのですが、「重荷」っていうのは「自分にはできない」って思うことなので、「オレに、そんな特別な力なんて無い!」は「重荷だ」って意味だなと(汗)
問題は、「十代ならできる」が事実なことと、それを本人じゃなくユベルが知ってて、三沢が若干羨ましがってるってことか(爆)


・三沢の思い
十代のように目立ちたかったけど何やっても駄目だった三沢。そして十代の直感を認めて自分だけの理論を完成させると決意したわけですが。十代の輝きの源はまさしく「覇王」の力なので、「そんな力欲しくない!」って言ってる十代に三沢が「甘ったれるな!」と言いたくなるのも無理ない話。
三沢いじめ(?)はここで十代を一喝する動機(資格に非ず)を与えるためでもあったんだろうなぁと。この3期で旧メンバーが十代にかける言葉の内容や言い方は、これまでのエピソードにきちんと由来しています。

(一方その頃、扉のところで亮を看病しているクロノス先生)

クロノス:具合は、どうなノーネ?
   亮:オレには、分かる…。この命、そう長くはない。
クロノス:諦めてはいけないノーネ。
     元の世界に戻れれーば、治療できるノーネ。
     人間は、最後の一瞬まーで、
     充実して生きなければならないノーネ。
     それが人間の義務であり、権利なノーネ。
   亮:…!
クロノス:なーんて、偉そうに言ってーも、説得力はゼロなノーネ。
   亮:クロノス、教諭…。
…っ!
(亮が何かに気づく)
クロノス:これでも昔ーは、理想に燃えていた時代もあったノーネ。
(亮が起き上がる)
クロノス:!?駄目なノーネ、安静にしてるノーネ!
   亮:奴が来る…俺が闘うべき敵が…!

クロノス先生いいこと言うなぁ…。
これ見てると、なんだかんだで亮もまだ子どもサイドなんだなという気がします。亮は他のメンバーには半分以上「保護者代理」だけど、クロノス先生に対しては、どこまでも「生徒」なんだなと。

(扉からヨハンが現れる。)
    クロノス:あ、あれは…。ヨハン!
         本当に、ヨハンなノーネ!?
         らーっ、やっぱり生きててくれたノーネ!
         嬉しいノーネ!
(亮がクロノスを制止する)
    クロノス:ぇあ?どうしたノーネ?
       亮:教諭はここにいてくれ。
ヨハン(ユベル):十代はどこだ。
       亮:いきなりご挨拶だな。
         次元を超えて迎えに来たというのに。
ヨハン(ユベル):ふん。
       亮:今まで、どこで何をしていたんだ。
ヨハン(ユベル):ふふ、もうすぐ分かるよ、ヘルカイザー。
       亮:どういうことだ?
ヨハン(ユベル):もうすぐ、すべての次元は統一される。
         そうすれば、みんな一つになれるのさ。
         愛の名の下に。
       亮:お前は、誰だ。
ヨハン(ユベル):ふふふ…。
       亮:いいや、誰だっていい。
         オレが闘うべき最後の相手は、
         お前だということなんだろう。
    クロノス:なっ、なーにを言い出すノーネ、シニョール亮!
       亮:例え未来がなくとも、今この瞬間を、
         最も充実して生きなければならない。
         そうだろう、教諭。
    クロノス:そ、そうだけーど、未来が無いなんーて…。
       亮:今でも立派な先生だよ、クロノス教諭。
    クロノス:えぁ。
       亮:オレに目的を思い出させてくれた。
         最強の敵と最高のデュエルをする、
         オレにとって、それが生きる目的…!

この辺、えらいかわいいなクロノス先生…(笑)

大人のクロノス先生と、子どもの亮のすれ違い。
子どもは大人ほど「未来」を信じない、「未来」なんか知らない。いつなくなるか分からない明日に賭けるくらいなら、今この瞬間だけ全力で生きたい。だけど生きるって何だろう?何のために生まれたの―?
そういう、「子どもの本当」に直面して、それをかなり意識的に解かないと大人になれなかったのが亮だったのかなーとか。
亮は…なんというか、GXの「主旋律」なんだよな…。翔が「副旋律」。仲間全部の旋律を足したハーモニーが「十代」になる。
…ああもう!文才が欲しい!!助けて河合隼雄大先生!!(笑)
なんというかもう、ここら辺から頭で考えたら負けの世界が始まってると思ったほうがいいかもしれない(爆)フィールだ!感じろ!その熱い魂を!(笑)
 
ヨハン(ユベル):ふふ。
       亮:(ヨハンとは、いずれ決着をつけなければ
          いけないと思っていた)
      ―回想・TURN-128―
         亮:オレの持つサイバー流の力、そして、
           お前の持つ宝玉獣の力、
           それがぶつかるとき何が起こるか。
       ヨハン:ああ、楽しみだぜ。ヘルカイザー亮!
         亮:(似ている…その目は、
            オレが最初に会ったときの、
            十代そのもの。)
        ―回想内回想・TURN-8―
         十代:おもしれぇ!おもしれぇよカイザー!
            このデュエル!
          亮:ああ、オレもだ。
        ―回想内回想終了―
         亮:貴様も十代と同じ、
           無限の可能性を持つというのなら、
           かかって来い!
      ―回想終了―
       亮:あのときの、めくるめくような興奮。
         それを与えてくれたのは、十代とヨハンのみ。
         オレとヨハンのデュエルはまだ終わっていない。
         今のお前が何者かは関係ない。
         ヨハンの顔をし、
         ヨハンの力を持っているのなら、
         オレと闘う義務がある。
ヨハン(ユベル):ふふ、いいだろう、お前にも愛を与えてやろう。
         お前が苦しみもがく様子を、十代に見せてやる。
       亮:…!
ヨハン(ユベル):悲しみ、苦しみ、痛み、それが、
         十代が教えてくれた、愛の表現だから。


今回は回想内容も書きだしました。「十代そのもの」ときたもんだ。「めくるめくような興奮」とか、すげー言い回しだよなぁ…(笑)
この回想が暗に示唆しているのは、「亮VSヨハン」は、「亮VS十代」と同じ意味を持っているってこと。「亮と十代の再戦」は、実はこんな形でこっそり描かれていたりする。
「オレと闘う義務がある」とか言っちゃえるのはクロノス先生に後押ししてもらったせいもあるような。…ひょっとして、まだ少し「巻き込むの悪いかな…」とか思ってたのか?お前?
ユベルの問題発言ですが、もはや別に問題とも感じない私がいます(え)
種明かしされちゃえば、心理的にはわりと普通の防衛反応だからなぁ…。
そういうこともあるんだってことを知ってほしいぐらいなもんで。

■Bパート


(十代・翔が三沢・タニヤと共に戻ってくる。
 亮とヨハンがデュエルをしていることに驚く一同)

  三沢:なんでこんなことに。
クロノス:そ、それが…。
  十代:ヨハン、生きていてくれたんだ…。
     だけど、これって何だよ。なんでカイザーが。
   翔:兄さん、そんな体で。
  十代:どういう意味だ?
クロノス:カイザーは、シニョール亮は、自分の最後の相手は、
     ヨハンだと言っていたノーネ。
  十代:最後…!?翔!
    (翔が顔を背ける)
  十代:カイザー、やめるんだ!このままじゃ、
     アンタか、ヨハンか、どちらかが死んでしまう!
   亮:十代、たとえお前の頼みでも、
     このデュエルをやめることはできない。
 ヨハン:そういうことだ十代。
     再会の挨拶は、改めてゆっくりな。

このヨハンどっちだろ、いやユベルなんだろうけど、なんかセリフだけ見たら普通にヨハン混ざってるように見える(笑)
翔の反応を好意的に解釈するなら、なんかもうそろそろ限界だから十代に泣きつきたいのを必死で我慢してるように見えなくもない(爆)
こう、「どういうことだ?」って聞かれて「実は兄さんの心臓一回止まってるんだ!もうボクどうしたらいいのか分からないよアニキ助けて!」ってほんとは言いたいみたいな。
…TURN-148の二人を見る限り、あながち間違いでもない気がするんだが…。
「どっちかが死ぬまでデュエルがやめられない」ていうの、気にしてるのか気にしてないのか分からない会話。というか、単にパニクってるのか。

(ダイレクトアタックを受けた亮)
       翔:兄さん!
      十代:カイザー!
      三沢:あれしきのダメージで、様子がおかしい。
    クロノス:カイザーの心臓は、一度止まってるノーネ。
      十代:翔!
       翔:…。
    クロノス:本当は、デュエルなんて無理なノーネ。
      十代:そんな…。
         ヨハン、やめるんだ!
         カイザーの体は、デュエルに耐えられない!
         仲間どうして傷つけあうなんて、やめてくれ!
ヨハン(ユベル):ふふふ、このデュエルは、
         十代、キミのためなんだよ。
      十代:何!?
ヨハン(ユベル):孤独が作り出す、苦しみや悲しみ、
         それこそ、キミが教えてくれた、愛の形。
      十代:お前、ユベル…。
ヨハン(ユベル):ふふふ…。
    ハネクリ:くりぃ…。
      十代:ユベル、闘うならオレと!
         カイザーのデュエルは、オレが引き継ぐ!
       亮:余計なことをするな十代!
      十代:はっ…。
       亮:お前なら分かるだろう。
         オレは今、最高の充実感を味わっている。
         この大事な一瞬を、邪魔はさせん!
ヨハン(ユベル):ふふ…。
       亮:行くぞ、オレのターン、ドロー!
        (融合を引く)
       亮:ふふふ…。
       翔:怖いよ。
         兄さんに、何かが起こりそうな気がする…。
        (デュエル中略)
       亮:(次の攻撃が通れば、ヨハン、貴様は死ぬ…。
          だが、もう誰にも止めることはできない…!)

         うおぉぉおお!!
         エヴォリューション・バースト!
      十代:カイザー!ヨハン!

十代が「オレが代わる」って言ってるのは、亮やヨハンを心配してる以上に、自分がこのデュエルを見てられないからって理由なのがミソ。このデュエルは、「見届けること」が十代への試練になっていたりする。…それなんて翔?さっきの「副旋律」の話ですはい。
亮の思考がすごい危険なことになってますが、これは亮にとってあくまで「賭け」なんですよね…。自分の一撃で倒せなかったら勝ちっていう。
怒涛の展開で次回に続く。

■次回予告

 翔:兄さん、やめて!
   何故死に急ぐようなことを…っ!
十代:泣くな翔!
   カイザーは死ぬために闘っているんじゃない!
 翔:でも…!
十代:カイザーは、生きている証を、輝きを、
   永遠に残そうとしているんだ!
 翔:そんな…!
十代:次回、「究極ドラゴン対決!
   サイバー・エンドvsレインボー・ダーク」
 翔:駄目だよ、それでも死なないで、兄さん!!

個人的に最優秀演技賞をあげたい次回予告。
翔の最後の叫びが、翔っていうキャラクターの核にあるものなのかもしれない。
誰より「命そのもの」を貴いと感じているのが翔。

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